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社長ブログ

富士スーパーTEC24時間耐久レース報告!その2 決勝‼
2018/06/25(Mon)

さてさていよいよ決勝!レポートです。

いつも以上に自慢が入るのは初優勝なのでご了承下さいませ!ではでは

今回のレースは長丁場中の長丁場!いつも以上に重要なのはPITinのタイミングや作戦。
意外と思われますがこの作戦を練るのが意外と一番好きなんですよね。夜な夜な考えてましたね!

意地が悪い事と捻くれた性格が元となり、ずる賢く考えた僕の作戦データを元に加藤エンジニアが修正して整えます。

今年、エンジニア加藤ちゃんがチームに加わった事で作戦に品というか知的さが出た気がしますね。

ルールを100%理解する。そしてズルはダメ!

ちなみにルールにとして基本的にグレーはダメです。何故なら勝った時、相手にぐうの音も出ない位にするには白で行かないとね!笑

ねっ!悪いでしょ? 勿論、敬意は払いますが。

今だから言える事を一つ。誰かに「たしろの走りは何かに取り憑かれたように常に全力だね!」と言われます。レース人生の中間の約10年レースから離れていた事で出場できない悔しさと後悔がトラウマのように成っているからでしょう・・・

だからレース後・・・その件は置いといて。今回も毎スティントで全力投球でした。

レースに勝つ重要なファクターの大きくはマシン、ドライバー、メカ、エンジニア、作戦!
そして作戦!この6個ですかね?
この6個!レーダーグラフで言えばこれがバランス良く大きければ勝者となる訳で
ドライバー以外は全て他車より大きく上回る事が出来たのではと考えています。
特に加藤エンジニアと練った作戦とレース中のデータは皆さんにお見せしたいものでした。
見せますけど!

赤枠が今回の55号車の作戦で略予定と同じ結果でした。
2時間を超え更に平均17分走行のロングを掛けられれば給油回数(ピットイン)で有利に出来ます。

赤枠下は有力チームの動向を確認する為の経過表。
レース中の他車の動きを全て記入していました。
これを見ると作戦としては流石はトップチーム!と言いたくなるのは13号車と18号車ですね。

55号車以外に2時間を超える走行はエンドレスの13と18号車だけでした。
18号車はECUセッティング仲間なので勿論ですね。森ちゃん‼

エンドレスと言えば今回の優勝に大きく貢献してくれたのはブレーキパッドで24時間無交換で更にレース中ブレーキを労わる必要は一切なしでした。

感謝感謝です。13は不運な事故に巻き込まれ残念でした・・・これもレース中エンドレスユーザーとして更に気合を入れ戦う必要性が生まれました。

さてさて、決勝スタートはいつもの私たしろ じゅんが担当。いつもと違うのは86号車とのバトルは見せない事。スタート直後から86と55は2台で飛び出てバトルに見えたかも判りませんが追いかける事無く自身のペースで走行していました。

これにはイケイケのたしろはイライラしていると思われていたと思いますが以外に清々しくもあり、作戦の予想と実際のポジションが非常に近くリンクしていましたので後のドライバーへのペース配分や走らせ方などの良いデータとなり安心していましたね。

55号車を一番理解している訳ですからスタート前のレース直前まで壊さない走らせ方をレクチャーしていました。

トップも2時間を超えないスティントの割りにペースが上がらない事で給油回数分を考えると負けていない事も安心材料でした。マシンとしてもいつでもペースを上げられる状態でしたからね。

スタートから2時間20分頃初のピットイン!たしろから伊藤へバトン。予定通りに思えた次の瞬間!
何とドライバー交代が済、ドアを閉めた瞬間、給油中にも関わらずエンジンが手動!あぁぁぁ〜くぅぅぅペナルティーです。

でもフォローするとすれば普段のレースではピット作業以上にDr交代に時間が掛かっていたので交代イコールスタートだった為、習慣としてドア締めエンジン手動と成った事でしょう。

まだまだ先は長い話です踏ん張ります。その後夜間は大井選手→たしろ→三笠→大井→たしろと続きます。

ナイトセッションでは花火も上がり

朝を迎える前、トップ集団には徐々に追い付き

給油のタイミングにより2番手と入れ替わるような状況に戻りました。


一点予想に反したのが884号車の8分間のピット義務2回が非常に短くそれまで僅差だったハズの差が一気にラップされるという状況で884のペナルティは判っていたのですが、不運な事に状況的にラップされている間にSCが入り、更には総合トップのポジションにより884が1周得をする状況と成り、「これ!作戦だったら恐ろしいな‼」と感じていましたね。

朝を迎えて走行は田中選手→たしろとバトンは続きここまで順調の55でしたが小さなトラブルも発生していました。
これは、最後の8分間停止義務からたしろに変わる際、ECUのエラーが有るかチェックの為、ECUのリセットを掛けたんです。

ところが、その後のスタート前の暖気不足で走行後直ぐにエンジンチェックが点灯してしまいました。これは本来のパワーを得られません。これを消し、戻すにはエンジンの際始動が必要‼止む無く1コーナー外へマシンを止め再始動し、大きなロスを強いられる羽目に・・・所が慌ててスタートして再度点灯・・・
300Rで再び停止と約1分20秒程のロスを人為的ミスにより作ってしまいました。

その後マシンは快調に戻り、取り返すべく渾身の走行で、三笠選手→大井選手と続きます。

大井選手は当然ながら即戦力で心配も無い。三笠はプロを目指す若手なので速さは申し分無い。テストの頃はクラッチ付きの車輌経験が無い為に操作がギクシャクして心配だったけど・・・
この頃にはその心配も無く、流石!若いって学習速いよね!

三笠は勉強熱心だったな〜。
さてさて、この時点では人為的なミスによるトラブル以外に不安は無い。

この頃になるとトラックエンジニアの海瀬くんとデータエンジニアの加藤くんが予測する他車の展開が数分単位で的中‼

チョット怖い位でした。全てが上手くいき予想通りな展開は一安心な一面、884号車とは接近戦!普段よりペースを落としているレース展開なだけに余力を残し過ぎてはいないかが不安‼

もし、レース後にマシンは余力を残し過ぎていたと成れば後悔が残る。しかし、今がマシンの限界であればペースを上げればリタイヤ・・・

FCYを利用して燃料スプラッシュして再び走行する大井選手

残り3時間と少し、このまま行けば2位は確実‼最終スティントまでピットは1回、ここで伊藤選手達とエンジニア、メカ、と最終打ち合わせ。

たしろ「このままで2位を確実に取るか?リタイヤのリスクを背負って勝負に出て、”勝ちに行く”か決断しましょう」

皆、・・・沈黙と成る。

そこで沈黙を破ったのは伊藤選手でした。「たしろはどうしたい?」

たしろ「勝ちに出たいです。チャンスも有りますし、2位は要らないです。」
加藤エンジニアからも「884は自分達より給油があと1回多いので今の差は無くなり最後はガチンコ勝負に成りますけど、たしろさんで行けば僅差で最後まで判らないですよ」

たしろ「んっ⁉僅差‼」

伊藤選手「それなら たしろで勝負しようよ!皆も良いでしょ?」

全員「OK!行こう‼」 こんな結論を出しました。

その後1,2分かな?僕自身の頭の中でフルスピードで計算‼これは皆の期待100%背負いますね・・・886はプロの平中選手・・・=負け。マシン=ペース上げなければ戦えない・・・僅差って前?後?大井さんに・・・ダメだ今乗っとる!三笠?いやいや助っ人に運命は・・・俺が行くか・・・

最終スティントは僕たしろでいく事となり、走行中の大井選手にも作戦を伝え、燃料が持つ時間まで走行するよう伝えました。

そして、55号車の全てを把握する よしかつチーフメカ とバトルに成った際にどこまでマシンを酷使できるか再確認し、回転数、シフトスピード、ラップタイム等入念に打ち合わせをしました。

具体的にはエンジンは少しだけ上げる200回転程、ミッションはチーフメカからは労われの一言・・・タイヤはNEWです以上!笑&怒‼

ペースは平均2分フラットの中盤から後半で走行して884が最後の給油が終わる残り30分のタイミングでスプリントに近い2分フラットで走行するしがちなバトルという作戦に決定???

もしも〜し!只今走行中の大井選手のラップは2分1秒から2秒ですよ〜!無理言いなさんな〜!

たしろ「大井さん!この後俺が2分フラットで走行して884を追う予定ですけどタイヤNEWですがそのマシンの状況で行けますかね〜?」
大井選手「無理だねー!」「・・・」「フロント食いで(オーバーステア)無理したら回るよ」

ここまでの話は略一語一句本当です。

いよいよ残り2時間と30分いうところ、既にスーツを含めた準備を終えた頃、884が想像通りのタイミングでピットイン。これで884は更にもう1度ピットに入る事が確定した。予想通りだ。

残り2時間と15分!既に30時間以上略寝ていない体はダル重ですがチーム全員が[全てはたしろに・・・任せる!]みたいな雰囲気⁉ でっター‼俺そういうの本当にヤッテマセンからー‼

待ちに待っていない55号車はPITin!タイヤと給油してOUT‼

先ずは全力でタイヤを温めつつ55号車の感触を掴むんだけど大井選手の言う通り・・・何時でも360°回転仕様です。

24時間走行している富士の路面はラバーやオイルでマシンがリアだけでなくフロントもフワフワ感じます。

ラップは2分2秒前半から1秒後半しか出ません・・・30分が経過してもまだまだ見えない相手を追う状況で
たしろ「フラットでは走れないよ〜」PIT「了解!頑張ってください」そして1時間経過。ラップは1秒台前半から後半に少し上がるも疲れと眠気で頭はクラクラ。

よし!クールスーツのスイッチオンでリセットだ!”ON " ・・・あれ?熱っーいお湯?「えっ?」水は?ジョジョョョ‼「えっえっぇぇぇ?」
何故か?クールスーツ&ドリンク終了!残り1時間50℃を上回る車内で心が折れる音がしましたね。

そんな時、ピットから無線が入り
PITの田中選手「田代さん!僕の計算では884が給油の後5秒前に出れますから頑張ってください。」
たしろ「へっ?前?5秒??」またまた⁉誉めて伸ばすにも程がありますよ〜田中選手。

うぅぅぅん。これはPITでも相当不安な状況に成っているようだ。何か良い方法は・・・

この頃、頭の中なのか?半分夢なのか?3つの結果が頭の中をぐるぐる回りました。
・先行してチェッカー寸前にストップ!「無理しすぎだよ!」 これはダメダメ!
・必死に走るもプロドライバーが乗る884に抜かれて2位でチェッカカー!「相手はプロだから」と慰められる・・・嫌だ絶対‼
・「たしろ‼プロドライバーを引き離し1位でチェッカー!」これこれ!


残り30分と少し、遂に運命の時が来ました。

PIT「884がピットに入りました」その頃55号車は300Rのブレーキングでした。
PIT「今、給油開始しています」55号車最終コーナー
たしろ「今ストレートタワー前だぞっ」
PIT「今出ました!ドライバーは平中選手です。今何処ですか?」
ピットウォールの終わりを見ると884のフロントが見えた!
たしろ「よしっ前だ!俺達の方が前だ‼」
ここで自身の体の何処かにあるスイッチがONとなり全力アタックに入ります。ここの1,2ラップで勝負の半分は決まります。

何方のラップが良いかでドライバーの気持ちとモチベーションを上げていくからです。
ラップは55号車が上回りました。当初5秒2だった差は僅かづつですが開いていきます。

自分でも信じられませんが今まで絶対に出ないタイムで周回‼略フラットで周回する事が出来ました。

殆ど覚えていませんから無心で走ったんでしょうね?しかし、意識はちゃんと有ったんですよね。

ここでダメ出しの
たしろ「PITに入る振りをしろ‼」PIT「えっ?入りませんよね?」たしろ
「振りだよ振り!油断させろ!」PIT「あっぁぁぁ了解です」

追い込まれた状況で走行中とっさに考えた作戦でした。これが最後のドラマ的演出に見えた真相です。

実際、燃料は全く問題ありませんでしたので引き離し出来た訳ですがそれでも最後の最後まで気が抜けない状況には変わりありません。

伊藤選手はPITでヘルメットを被り交代の準備!結構楽しんでたでしょう?

ココからは画像で経過をご覧下さい。

7秒

リポーターのピエールさん。「本当に入るんですか?」大井さん「いぃぃや。たた多分ね。入らない・・」



祈ってたんですね。すみません。




いよいよファイナルラップ!これ程動揺したレースは初めてです。

そしてチェッカー!

チェッカーを受けた時は涙で前が見えませんでした。





そして、最後の事件。

ピットロード逆相でパルクフェルメへ


チェッカーを受けた後、パルクフェルメまで走らせた事は覚えているのですが、その後脱水症状で救急搬送されてしまいましたという訳です。

表彰台の頂点から見る景色はどんなものだったんでしょうか?僕には未だ判りませんが・・・

きっと今まで見た事無い景色だったはずです。






これは24時間、1つの目標のゴールでした。しかし更なる目標に向けて
更に全力で戦っていきます。

まだ見ぬ表彰台の頂点の景色を見る為に

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